2019.03.01 目次
・文章レベル ★★★★☆ ・語彙レベル ★★★★☆ ・漢字レベル ★★★☆☆ ・時間的圧迫感 ★★★★☆ ・面白さ(主観)★★★★☆
・大問1 漢字の読みと書き ・大問2 小説文:高橋弘希「送り火」 ・大問3 説明的文章:村上春樹「職業としての小説家」
文章題全21問中、5題が記述問題。そのうちもっとも文字数が多いのが30字以上40字以内×2題。特段記述重視ということもなく、記述と選択肢の割合も一般的でバランス型と言えるでしょう。
文学的文章のセレクトは、少し古めの時代設定で描かれる高橋弘希の「送り火」。転校してきた少年とクラスメイト、家族の関わりを描いています。「急峻」「外套」「敵愾心」などの言葉は注なしで登場。問8の文章表現に託した想いを記述する頗る良問。子どもたちがどんな解答をしてくるかを楽しめる問題ですね。
説明的文章は村上春樹の「職業としての小説家」。個人的には大好きな文章です。読んだ小学生が「小説家って面倒くさそうな奴やな」と思うことは請け合いの見事な迂遠さが炸裂。文章も長く村上春樹らしい比喩もありますが、6000字近い文章を通して言っていることは「小説家って変な人たちで続けるのは大変」というメッセージ。文章中にもありますが、それこそ頭が切れる人はイライラする文章かもしれませんね。問6 は二箇所の空所補充を自分の言葉で10字以内や15字以内でまとめなくてはならず、高い言語活用能力が求められています。
・結婚式でシュクジを述べる(祝辞) ・患者に被害を及ぼす医療カゴは許されない(過誤)
の二つは難しい。小学生の語彙でどこまで対応できるか。それ以外の8題(うち読みは2題)は浅野を受けるレベルなら間違えてはいけない。
選択肢問題は理路整然と解いていくことが最大のポイントです。文章中のヒントを的確に拾うことで明らかな正答が導けます。丁寧な読み込みで正解にたどり着くことができますが、設問の文章、選択肢の文章一つ一つが長いため、根気よく正確に内容を汲み取り、掴むことが重要です。
長い選択肢を区切りながら、文章と照らし合わせながら合っている箇所、誤りの箇所を探していくことで、正解を選べます。問いかけに対してすぐに選択肢を見るのではなく、まず答えを頭の中で思い描き、それから文章を根拠に選んでいくと良いでしょう。
決して解答字数が多いわけではありませんが、設問の意図を汲み取りながら厳しめの字数指定を守る要約能力が必要とされます。文章中の言葉を正確に理解して、具体と抽象を往還しながら無駄なくまとめていくのはかなりの難題です。
選択肢で正確性を測り、記述問題で言語活用能力を問うことで全体のレベル感とねらいを整えているように思います。
・強弁している ・辛気臭い
の意味を問う選択肢問題が出題。いずれも小学生としては馴染みのない言葉ですね。それ以外にも文章中に普通に語彙レベルの高い言葉が出てくるため、浅野の国語には小学生レベルを超越した語彙力は間違いなく必要。
重要語彙や和語、畳語等をまとめるノートなどを作って隙間時間に眺めるなどして語彙力を上げていくと良いでしょう。これから毎回紹介することになりそうですが、語彙力アップにはこの漫画が最強。難関校受験者は一家に一冊(二冊)必要ですね。
全体として言葉の力と全体把握能力、文脈理解力が必要です。確かな力を問うてくる本格派の国語の問題です。問題にブレがなく、選択肢の正解も明確なため、総じて良問が揃っていると言えます。数ある入試問題の中でもバランス型問題の最高峰の出来と言えるでしょう。
個人的にもここ数年の浅野は好きですね。
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