創立95年を重ねる、鎌倉五山建長寺をバックグラウンドに持つ伝統校です。桑田佳祐や堺正章の出身校として有名ですね。現在の鎌倉市長の松尾崇さんも卒業生です。文武両道を掲げ、私立ならではのハイレベルな学習と部活動の両立に積極的に取り組みます。2017年には新校舎も完成し、内部の改革も進んでいます。
東京の開成中と創立者を同じくして110年の学びを刻んだ逗子開成。眼前には逗子湾が広がり、いつも自然を実感出来る静かで豊かな環境。歴史の重みを次代に受け継ぎつつ、常に時代と共に学びを進める湘南有数の中高一貫進学校です。海洋教育学を軸に「逗子開成にしかできない教育」の追求は今日も続きます。
●2017年新校舎完成の鎌倉学園に軍配。全教室プロジェクターは当たり前、ICT関連の環境もほぼ完備。コンピュータールームのMac40台は圧巻ですし、待望のカフェテリアも完成しました(味は普通、量は多い)。グラウンドの広さや種類なども含めて、男子高で活発に伸び伸びと中高生活を送りたいという方には鎌倉学園をお勧めします。 ●逗子開成も築年数は経っておりますが、校舎の清潔感は保たれており、必要な設備は不足なく、ICT関連の設備も充実しております。どちらも中庭にグラウンドがありますが、本格的なグラウンドは離れています。広さ、種類ともに鎌倉学園が一枚上手。両校の部活動の実績にも少なからず影響しているように思います。
●津波の危険性を考えると絶対に安全とは言い切れない逗子開成。津波避難の際は近くの披露山公園(標高92m)に避難しますが、最短でも20分はかかります。鎌倉学園は山に囲まれているため、土砂崩れの危険性はありますが、地盤が固く、まず起こりえません。その一点で鎌倉学園の方が安全であると言えます。 ●両校とも最寄駅が北鎌倉、逗子ということで遊ぶ場所もなく、誘惑もありません。その意味での治安・安全性は差がないといえるでしょう。(若干逗子の方が開けています) 通学路は、北鎌倉は道も歩道も狭く交通量も多い駅からの15分の歩きは、気が抜けません。逗子開成は、商店街を抜けていくので夜も明るく安心ですが、夏場に海水浴客が通る道と同じなのが多少気がかりです。ただし、逗子の海水浴場は飲酒が禁じられており、クリーンで安全なビーチです。
●横須賀線の車内で両校の生徒を見かけます。少しステレオタイプな見方になりますが、鎌倉学園の生徒は立っていることが多く、寡黙な印象。逗子開成の生徒は、座って楽しそうに話しているシーンが多く見受けられます。(逗子が横須賀線の始発ということも関係していると思いますが)。 ●他には、文武両道の理念が鎌倉学園の生徒には浸透しており、体格も良くどっしりとした生徒が多く男子高っぽさを感じます。ここ数年、文武両道の鎌倉学園にも、おとなしくまじめな子の入学が増えてきているとの実感もあります。逗子開成は小器用な生徒が多い印象で、男子校ですが、男子校っぽくない爽やかさがあります。ただ、最近は運動好きな生徒の入学増えてきており、少しずつ色が変わってきています。
●教職員全体が一つの方向に向かって一丸となっているのは逗子開成。逗子開成アイデンティティが各教員に浸透しており、改革や挑戦を評価する風土で、各々が建設的な提案をしながら学校を進化させているように感じます。 ●一方、鎌倉学園は動きがどうしても単発的で全体としての意思統一感がやや薄いのではないでしょうか。また、新しいことをするまでの動きや意思決定が若干遅いように思います。ただ、後述するように、その気風も変わり目を迎えています。
●逗子開成、高橋校長のカリスマ性や先見の明、小西教頭の人格や示す方向性の確かさは、他の中高一貫校の中でも非常に高い評価です。 ●一方、鎌倉学園の竹内校長は、学校運営のセンスと勘所が素晴らしく、入試日程の設定や選考方法など、生徒を集める機会の創出に長けています。 ●学校の理念やビジョンを明確にし、各教員、生徒をリード出来ているのは逗子開成であると感じています。
●若手から管理職までバランスよく活躍し、特にベテランの先生の存在感がある逗子開成ですが、若手教員の頑張りやバイタリティーという点では鎌倉学園の方を推したいと思います。学校を変えていきたいという意欲、頑張りが見えます。 ●グローバル研修の推進や生徒への効果を最優先した本格的なICT教育、理科系の講座の充実など、若手を中心に学校を変える取り組みが鎌倉学園では続いています。
●鎌倉学園には、神奈川県屈指の実力を誇る野球部があり、剣道部も近年急激に力をつけていて、陸上部(駅伝)も強いですね。 また、先日行われた全国高等学校社会科研究発表大会で、考古学部が準優勝するなど文化系の部活動も盛んです。天文部や生物部など理科系の部活動が充実しているのも特長です。 同好会としては、将棋やディベートも全国レベルですね。鉄道研究部も活発です。 ●逗子開成は、逗子の学校らしく、水泳部とヨット部が強豪です。他には、バレーボール部やバドミントン部、陸上部も健闘しています。 ただ、野球グラウンドがなく、サッカーも手狭な校庭で行います。試合などは他校で行っているようです。サッカーや野球を思い切りやりたいという方には少し不向きかもしれません。 文化系では、将棋部が好成績を残し、物理化学部も注目を浴びています。
●数字は見れば比較ができますので、細かなところは両校のホームページへ。
●学習指導力は両校とも高レベル。質の高い教員が揃っています。 ●指導体制は逗子開成に軍配が上がります。数年来高い大学進学実績を出してきており、いつ何をやるか、そしてそれをどう計画していくかというノウハウは鎌倉学園よりも一日の長があります。6年間をどう使って自分のキャリアを考えるか、という教育がなされていると感じます。 ●外進生の実績に頼ってきた弱さが鎌学にはあります。鎌倉学園に高校から入ってくる子たちは湘南高校や柏陽高校の不合格者が多く、すでにかなりレベルが高い子たちです。手取り足取り指導をしなくても、これまでは自学自習で高入生が良い実績を出してきており、それに頼ってきたツケが回ってきているのではないでしょうか。中高一貫生の奮闘を期待したいところです。2017年度入学生からカリキュラムの変更があるとのこと、期待したいですね。 ●鎌倉学園は大学進学実績の見せ方がいつも変わるのもマイナスポイント。単年度しか説明会をご覧にならない保護者の方も多いかと思いますが、学校にとって都合の良い値を切り取ったグラフの見せ方になっています。
●行事の盛り上がりは男子校ならでは、です。体育祭の盛り上がりは逗子開成、文化祭の盛り上がりは鎌倉学園、という印象ですね。訪れる保護者の感想もそうなることが多いようです。鎌倉学園は体育祭はなく「体育デー」という催しになります。
以上、人気の二校の比較をしてまいりました。冒頭にも記しましたが、どちらがお勧めということもありません。切り口、お子様のタイプによって選び方は変わります。 中学受験は、出会いの場です。比較検討する際の材料が増えれば幸いです。新たに気づいたことなどがあれば、今後も追記してまいります。
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