こんにちは。11月も半ばを迎えました。今年の6年生はあと70日前後に迫った中学受験本番に向けて、追い込み中のことでしょう。
お母さん方は、これから冬本番を迎えて家族全体の体調管理に力が入ってきます。今年2月に受験が終了した我が家の娘の去年の今頃を振り返ってみると… 週5日間通塾しながら過去問演習…毎日なかなか過酷でしたね。母親の私は願書の入手・そして土曜日に開催される志望校の入試説明会に参加と東奔西走していました。夫は忙しい仕事の傍ら、子供の過去問の管理をしてくれていました。まさに家族一丸となっていた時期です。
模試や過去問の結果が悪かったりすると子供も追い込まれ、ストレスがたまってわがままになっていましたが、言い合いをする暇などないこの時期。なるべく娘のわがままをきいていました。
夕食に娘の好きなお寿司やうなぎの頻度が増えたり、就寝前に毎日ベッドで疲れた背中や足をもんであげるようなことしかできなかったけれど、娘の心の平穏を保つために母なりの努力がありました。
子供のストレスが最高潮となっているこの時期、健康管理と同じくらいに大切なのが、子供の精神状態の管理。我が家でそれに一役買っていたのがテレビや動画の視聴でした。
受験生、でも実際はたった12歳の小学生。秋は学校のイベントも盛りだくさんですし、12歳の女子というと、アイドルやドラマにだって夢中になる年頃です。受験生であるという自覚はもちろんあるけれど、最後の小学校生活での友達関係や想い出づくりもおろそかにしたくないというのが子供の本心だと思います。女の子の友達関係で重要なのは、「トレンドを知っていること」。トレンドを知るにはもちろんテレビが有効です。
通塾を開始した3,4年生頃から6年生のこの時期までずっともやもやと悩み続けていたのが、テレビと子供との付き合い方でした。周りの受験生家庭の中には、「テレビはニュース以外見せない」または「テレビが家にない」という家庭も多くありました。我が家では5年生までは学校ではやっているドラマやバラエティを空き時間に見せていましたが、テレビの時間さえなければもっと読書や計算問題を解く時間が取れるのに…といった焦燥があったのも確かです。
そんな中で視聴を割と積極的にOKにしていたのは ・クイズ番組(「今夜はナゾトレ」「クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?」など) ・歴史/地理番組(NHK大河ドラマや「ブラタモリ」など) ・生物/科学系の番組(「ダーウィンが来た」 「サイエンスゼロ」など) ・時事問題などに有効そうなバラエティ番組(「池上彰のニュースそうだったのか!」 「世界の果てまで行ってQ」など)
ただ、6年生となると毎週の1時間すら惜しくなるのが現実。何度かそこで衝突もありつつ娘が編み出した息抜きは「YouTube動画」の視聴でした。
YouTube動画は15分以下のものが多いので、休憩時間に視聴していました。ただ、親としては、少しでも勉強になるものを見て欲しいというのが本心です。 そこで娘がよく見ていたものは、【学習系YouTuber】と【高学歴YouTuber】ものでした。
【学習系YouTuber】とは、動画内で勉強の解説をする人。娘のお気に入りはチャンネル登録者数111万人・3482本の動画を上げている 「とある男が授業をしてみた」というチャンネルです。 小学校低学年から高校受験までの学習範囲を解説しています。娘曰く、とにかく板書が見やすく、動画の種類が豊富なのがポイントとのこと。
【高学歴YouTuber】とは、「高学歴である」「勉強が得意」といった利点を生かした面白動画を配信している人。小学生~の学生が夢中になるような実験などの動画に加えて、受験のアドバイスや、勉強動画も配信しています。伊沢拓司さん率いる今話題の「QuizKnock」の高学歴メンバーは、テレビ等にも引っ張りだこ。「身の周りのモノ・コトをクイズで理解する」をコンセプトに、勉強に役立つ学びを必ず動画に取り入れているのが特徴です。 中学生になった今でも、娘は「QuizKnock」に夢中で、クイズ研究会への入部を決めました!
このように我が家では受験の最後の最後までコンテンツを視聴させていましたが、 他の受験生はどのようにテレビやYouTubeと付き合っているのか気になり、調べてみました。
現在5年生の受験生を持つ教育図鑑の編集スタッフは娘にテレビの視聴を禁止していました。スタッフ自身が「テレビやYouTubeを視聴しない教養レベルの高い家庭」に憧れがあったからです。
受験勉強の合間の息抜きには読書や手芸をすすめていました。スタッフは当時の家庭の様子を振り返って「笑いも楽しみもない味気ない雰囲気」だったと言います。また、勉強している時間は長いけれど思ったように成績が伸びないのも悩みでした。
娘さんから「勉強をして疲れている時に読書をするのは疲れる。休憩時間はもっと頭を休めることをさせて欲しい」「勉強ばかりで生活に楽しみがない」」と愚痴をこぼされたことをきっかけにルールを決めてテレビの視聴を解禁しました。
塾の宿題や問題集など一日の課題をこなしたら、テレビを視聴しても良いルールを作ったところ、テレビを見たい一心で集中して勉強に取り組むようになり、短時間で課題をこなせるようになったそうです。
「親が考える以上に子どもの生活にとってテレビやYouTube視聴は「楽しみ」であり勉強するうえでのモチベーションにもつながるのですね」今では、テレビを視聴する時間を先に決めて、それまでに課題をこなすというスケジュールで塾の成績も安定してきたそうです。
例えば小学校5年生の2学期から塾で習う歴史。 YouTubeで「歴史の年号語呂合わせ」「替え歌で覚える歴史」を視聴することで、テキストの語彙の暗記勉強に偏りがちな歴史の勉強を楽しく歴史全体の流れを把握しながら学習できます。
小学生に大人気のバラエティ番組からも学べることがあります。
「世界の果てまでイッテQ!」日本テレビ(日曜夜7時58分から8時54分放送)
2020年10月25日放送 「ガンバレルーヤのダイエットプロジェクト」では宮沢賢治の詩「雨ニモマケズ」をガンバレルーヤのお二人が暗唱する姿が放送されました。詩の学習では音読することで対句や音韻、倒置法を体感学習できるのですが、子ども一人では恥ずかしがって音読をしてくれません。馴染みのあるお笑い芸人さんが詩を暗唱していることに意欲が湧き音読するきっかけになることもあります。 前述のスタッフはこの番組の視聴をきっかけに「雨ニモマケズ」を娘さんと一緒に音読しているそうです。
他にも中学受験生がいらっしゃるご家族の方が書いているブログ等SNSにはTV・YouTube等コンテンツの活用例がありました。
・「サピックスから御三家へ!中学受験ブログ」 「ブラタモリ」で紹介された浜名湖でのウナギ養殖の内容が麻布中学校の入試問題に出題された様子が紹介されています。
・「英才教育ママの端くれ」 実際に「クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?」で出題された問題を紹介しています。中学受験生に暗記必須の問題ばかりです。テレビを楽しみながらクイズに答え、記憶の定着化を図れそうです。
今年の中学入試では、「藤村女子中学校」の「ナゾ解き入試」の導入が話題となっています。リアル脱出ゲームでも知られる株式会社SCRAPが開発した「生きる力」に観点をあてた形の入試だそうです。
また、東海地方の全寮制男子校「海陽中等教育学校」では、音声を聞いたり映像を見て国語・社会・理科の分野からの問いに答える「視聴型総合問題」を導入しました。
「武蔵野大学中学校」では、昨年度よりゲーム要素の強い行動観察型「アドベンチャー入試」を導入し、受験者数が急増したそうです。
このように「思考力」「表現力」が問われる入試が増えている昨今、実際の入試でも、テレビやYouTubeで得た知識を活用するシーンがでてきそうですね。
テレビやYouTube等のコンテンツを受験勉強や成績アップに最大限に活用するコツを考えてみました。
① 家族と一緒に観る 家族で一緒に観ることで、会話が生まれ、知識の幅も広がります。例えばクイズのような番組であればお互いに問題を出し合ったり、正答率を競ったり、と楽しむことができますね。
② ノートを取りながら観る ただ画面を流し見するだけでは、なかなか頭に入りません。少しでも「ためになる!」と感じた情報はメモをするといいですね。一冊お気に入りのテレビ・YouTube観賞用のノートを作ることをお勧めします。
③ 試験に出そうなポイントを探しながら観る これは、子供には難しいかもしれませんが、例えば今年の時事問題に出そうなトピックを取り扱っていたら、親がそれを問題形式にしてあげるといいですね。興味があった事象であれば図鑑や辞典・インターネットなどで深堀すると知識も広がります。
④ だらだらと長時間視聴しない ドラマや長時間のバラエティ番組だと、空き時間が30分しかなくても、続きが見たくてどうしてもだらだらと見続けてしまうことになりがちです。たとえば大きな音の出るタイマーなどを使用して、時間が来たらパッと視聴をやめられるような工夫をしましょう。続きが気になって勉強に集中できないような視聴を避けるためにも、数分~数十分で完結するYouTubeコンテンツの視聴はおすすめです。
中学受験を経験したスタッフ・または中学受験の保護者SNSから探したおすすめテレビ番組とYouTubeチャンネルをまとめました。
■地球ドラマチック Eテレ毎週土曜 午後7時~ 世界中で作られたドキュメンタリーを放送。恐竜や宇宙の神秘などの特集は子供の好奇心を刺激します。 ■ザ!鉄腕ダッシュ!! 日本テレビ毎週日曜 午後7時~7時58分 TOKIOのメンバーが大自然の中で「人間の限界」に挑戦するバラエティ番組。 ■ブラタモリ NHK総合テレビ 各分野の専門家と街歩きが趣味のタモリが街を散策。その街の歴史や地理などを独自の視点で紹介。 ■世界の果てまでイッテQ! 日本テレビ毎週日曜 午後7時58分~ イモトアヤコなどの人気タレントが世界を舞台に体を張って冒険。世界の国々の知られざる実像が垣間見られるバラエティ番組。 ■チコちゃんに叱られる NHK総合テレビ 5才のチコちゃんからの、いままで考えたこともなかった素朴な問いかけに対し専門家がVTRを通して解説。知らないでいるとチコちゃんに「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と叱られます。 ■世界一受けたい授業 日本テレビ毎週日曜 午後7時56分~ 世の中の仕組みを、各界の著名人が講師としてわかりやすく講義。小学校で学習するような内容の授業が多いのが特徴。 ■池上彰のニュースそうだったのか! テレビ朝日土曜 夜8時~ 最近大きな話題となっているニュースの数々を池上彰が基礎から分かりやすく解説し、家族で一緒に学べると評判のニュースバラエティ番組。時事問題対策に役立ちます。 ■歴史秘話ヒストリア 総合 水曜 午後10時30分 | 再放送 火曜 午後3時08分 歴史上の人物や事件などにおける今まで知られていなかった部分にスポットを当てて紹介し、歴史人物の心境や決断などが歴史の秘話として詳しく解説されています。 ■ねこねこ日本史 Eテレ 水曜 午後6時45分~ 日本の歴史上の人物に扮した猫が大活躍!歴史を描く4コマ漫画シリーズのアニメ化。歴史の勉強が始まる前の導入に最適です。 ■東大王 TBSテレビ 水曜 午後7時~ 東大王決定戦を勝ち抜いた「知力の壁」東大王チームと知力自慢の芸能人チームがクイズで対決!東大生たちの勉強方法や思考方法が紹介されることも。東大生の知識の深さと広さに毎週感心させられます。 ■クイズ!あなたは小学5年生より賢いの? 日本テレビ 金曜 午後7時~ 賞金300万をかけ、芸能人が小学生の学習内容から出題される問題に挑戦するクイズ番組。中学受験の過去問からの出題も。助っ人として活躍する小学生の実力には実際の中学受験生も刺激を受けているようです。 ■今夜はナゾトレ フジテレビ 火曜 午後7時~ 日本中の天才クリエイターから出題される、謎解きしながら脳トレすることができるクイズ「ナゾトレ」にタレントが挑戦。東大の学生を中心としたクリエイター集団の作成した謎解きクイズ「東大ナゾトレ」が特に人気を博しています。 ■ダーウィンが来た NHK総合 日曜 午後7時半~ 最新の撮影機材を使った観たことのないスクープ映像で生きものたちの魅力と自然のすばらしさに迫ります。世界で初めて観察された行動など、動物の生態に関する貴重な映像資料となるものも。 ■サイエンスゼロ NHKEテレ1 日曜 午後11時半~ 未来を変える可能性がある最先端の科学と、技術を紹介。社会問題や身近なことがらに科学の視点で切り込みます。
■QuizKnock チャンネル登録者数 153万人 東大クイズ王・伊沢拓司を中心とした高学歴メンバーが、クイズやゲームに頭脳と根性で挑戦していくチャンネル。自由研究のまとめ方を解説するシリーズは大変参考になりました。入試問題の解説や、中学受験で出題された難問に楽しく挑戦する動画もあり、休憩時間に観るのにもちょうどよい内容です。 ■とある男が授業をしてみた チャンネル登録者数 3.02万人 小学3年生から高校生に向け授業動画を配信。わかりやすさと、板書の美しさは必見です! ■ふるやまん チャンネル登録者数 1.16万人 日本数学検定協会公認の数学コーチャーのふるやまんが小学校算数〜大学受験まで幅広い映像コンテンツを配信。 ■こばちゃん塾 チャンネル登録者数 2430人 「授業動画を通して勉強好きを増やす」「経済的な理由による学力格差を減らす」を目標に元塾講師が中学受験内容の授業を配信しています。楽しく学べるような工夫が満載です。 ■中田敦彦のYouTube大学 チャンネル登録者数 315万人 お笑いコンビ「オリエンタルラジオ」の中田敦彦が、教育系YouTuberとして歴史や偉人・文学などを紹介し解説する動画を投稿。授業ではつまらなかったり、難しくて理解しにくい内容も面白く・わかりやすく紹介し、夢中になっている中学受験生も多数いるようです。 ■エグスプロージョン チャンネル チャンネル登録者数 50.9万人 よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属のエグスプロージョンが配信するチャンネル。「踊る授業シリーズ・本能寺の変」は大きな話題になりました。妙なメロディーの歌とダンスに歴史的事象を乗せています。大した知識にはならないけれど、一度聴いたら忘れないかも。勉強に疲れた時の息抜きにどうぞ! ■松丸亮吾【ひらめきラボ】 チャンネル登録者数 17.2万人 東大卒・謎解きブームを作った松丸亮吾が「ひらめき」をテーマに、考えることの楽しさやひらめく瞬間の喜びを伝えるチャンネル。授業風の謎解き解説や、あまり勉強が好きでなかったという、自身の勉強法などを紹介。勉強を好きになるヒントが見つかるかもしれません。
子供が将来なりたい職業のランキング上位に「YouTuber」がはいってきている今、テレビやYouTubeのコンテンツを子供から遠ざけることは難しくなってきています。
全ての娯楽を我慢して中学受験に臨むことはたった12歳の子供にとって簡単なことではありません。中学受験の経験が、子供にとってただ苦痛の記憶にならないためには、ある程度の容認は必要なのではないかと思います。
受験期の我が家ではYouTubeが子供の「精神安定剤」のような役割を果たしてくれました。それだけでなく、頭の回転が速く知識がおどろくほど豊富な高学歴のYOUTUBERたちを見て、「彼らのようになりたい」という想いが強くなり、勉強を頑張るモチベーションにもなっていたようです。 さすがに本番の1か月ほど前には自らを律するようになり、こちらがなにも言わなくても、動画やテレビを見ることは一切無くなりました。
受験に役立つようなコンテンツもどんどん増えているので、視聴の仕方のルールを家族で決め、コンテンツの活用方法を考えながら、上手につきあっていくことをお勧めします。
皆さんのご家庭ではテレビやYouTubeとどのように付き合っていますか? 中学受験勉強の合間に視聴しているテレビ番組や、YouTubeのチャンネルなどを教えていただけると幸いです。
教育図鑑では中学受験についてのお悩み、ご意見を募集しております。ページ下部のコメント欄にご記入ください。みなさまのお悩み解決に役立つようなテーマの記事を発信してまいります。
コメント欄をみんなで楽しく利用できるよう、以下の注意事項をお守り下さい。
(1)公序良俗、法令違反行為を目的とした利用
(2)犯罪的行為にむすびつく利用
(3)他者の著作権、財産、プライバシーを侵害しないこと
(4)他者を誹謗、中傷しないこと
(5)営利目的の商業行為
会員になりますと引き続きご利用いただけます(すべて無料)
登録は簡単!メールアドレスとニックネーム、お住まい地域の郵便番号、現在の職業(学年)の登録のみ!