取材日:2016年8月26日 インタビュイー:司書教諭 高橋香先生 インタビュアー:教育図鑑編集部 田口亮太
田口:在庫書籍数はどれくらいですか? 高橋先生:約4万2千冊です。 田口:分野は? 高橋先生:小説類と、あとは調べ物で使うことが多いので、その関連の本が多いですね。代表的なものは、音楽科のレポートが多いので、音楽関係の歴史の本です。あとは私は中学三年生の総合の授業を担当しているのですが、総合の授業では、週に1回は仕事についての授業をやるので、職業関連の本はかなりあります。職業の内容が書いてあるものですとか、例えば薬剤師を調べる生徒でしたら薬の種類についての本とか。
田口:授業と連携して在庫書籍を選ぶことが多いのですか? 高橋先生:そうですね。総合の授業では毎週図書館に来ますし、それ以外も多ければ、週に5~6コマは先生が生徒を連れてきます。国語の自由読書の時間であったり、家庭科のメニューの作成のために来たりとかしていますね。あと、美術の授業で絵を描くための材料を探しに来ることも多いですかね。
田口:座席数はどれくらいですか? 高橋先生:70席ぐらいあると思います。 田口:多いほうですよね。 高橋先生:そうですね。2クラスはちょっとギリギリですけど、1クラスは余裕で入ります。
田口:学生の利用頻度を教えてください。月に何冊ぐらい借りていますか? 高橋先生:学年によっても違います。毎年4月に生徒に対して利用についてのオリエンテーションをするんですけど、そのときに紹介しているのは、平均すると1人年間5冊。一番多い生徒ですと、1年間に200冊以上借りる生徒もいますね。学年は、今の学年でいうと高二が多いです。中一、高二あたりが多いですかね。 田口:中一、高二の貸し出しが多いのはなぜですか? 高橋先生:学年の先生方の影響です。礼拝の時間で自分が読んでいた本を紹介する先生もいるし、夏休みと冬休みに“先生方のオススメの本”というのを小冊子にして配ることもあります。本の好きな生徒はそういうのを見て、「〇〇先生が紹介していた本はどれですか?」なんて言って借りていったりとか。種を蒔けば蒔くほど、貸し出し冊数にも繋がっている気がしますね。運動部の生徒も結構来ますし。
また、「この学年はちょっと貸し出しが少ないな」と思ったときは、月に一度教室へ本を持っていく“移動図書館”という活動をやっています。図書委員さんに手伝ってもらって、その場で貸し出しをするんです。5月、6月とやって、合計100冊くらい貸し出しました。あとは修学旅行だったり、平和学習だったり、学年から要請があれば、移動図書館をやりますね。
談話ってご覧になりました?教室の前の廊下に椅子が置いてあって、生徒がお昼を食べたり・・・
田口:はい。見せてもらいました! 高橋先生:あそこにいろんなものを展示するんですよね。そこに先生から要望のあった本をごっそり持っていって、貸し出しをするなんていうこともしています。移動図書館と特別展示で、その学年に本を持っていったりしていますね。 中学一年は、国語科で空き時間があったりすると「図書館で自由に本を読みましょう」ということをやったり、「自分の好きな本を短冊に書いてお友達に紹介しましょう」なんてこともやっています。教科の中でも勧めてくれているので、やはり中学一年は特に貸し出しが多いですね。
田口:生徒がこの本欲しいなんて言ってきたときの発注サービスはありますか? 高橋先生:もちろんあります!生徒からのリクエストも受けますし、図書委員が推薦をするための予算もあります。 図書委員会は一学期と夏休みと冬に有隣堂に出かけていって、学校図書館向けの本の中から図書委員推薦の本を選びます。夏休みと冬休みは伊勢佐木町の本店に行って、お買い物カゴをお借りしてどんどん選ぶ。ちょうどそこに並んでいるのが、この夏休みに出かけていって選んできた本ですね。その本には黄色のシールがついて「図書委員会推薦本」というコーナーを作るのですが、みんな結構借りていきますね。年に一回は、有隣堂本社の営業にも行っています。 田口:面白そうですね、生徒が本屋さんに行って買ってくるというのは。 高橋先生:私たちが選ばないような本を選びますね。(笑)「ちょっとこれ、ハードボイルドすぎじゃない?」っていう本は引っ込めてもらうこともありますし、予算もありますが、その中で生徒たちに本を選んでもらっています。
田口:高橋先生が一番好きな本を教えて下さい。 高橋先生:たくさんあるんですけど、これかな。「クマよ(たくさんのふしぎ傑作集)」。星野道夫さんという写真家の方の、子供向けの本です。星野氏は写真家ですが読み物もたくさん出ていますし、教科書にも文章は載っています。 去年、星野氏の事務所から写真パネルをたくさんお借りして、校内に作品を展示したんです。入り口のホールのところにテントを置いて中に寝られるようにしたり、隣の小学校(捜真小学校)にも置いてそこで寝たり、転がったり、カメラを置いて覗いてみたり。星野氏の作品は生徒にも勧めますし、展示がきっかけで個人的に作品を買った先生もいらっしゃいました。英語や国語の教科書にも出てくるので、教材としても使っていますね。
もともと私、アラスカに行ったことがあって。その頃にちょうど星野道夫さんが写真を撮り始めていたので、ファンレターを書いたらお返事をいただいたんです。それで、生徒たちにも紹介したいなと思って。教科書でも取り上げることが多いですし、学年によっては教科書でこの方の文章を読んでいます。どうしても学校と家の往復になってしまいがちなので、こういう機会を通じて外の世界をどんどん見てほしいという想いがあってのことです。
田口:ファンレターに返事が返ってくるって嬉しいですよね。 高橋先生:そうですね。もうこの方はクマに襲われて亡くなってしまったんですけど・・・ 田口:そうですか・・・ 高橋先生:もう何年も前ですけど。
田口:図書館側から生徒に読んで欲しい本を勧めることはありますか? 高橋先生:ありますね。ホームページにも図書館のサイトがあって、そこに「司書教諭の窓」とうコーナーがあります。(笑)3ヶ月か4ヶ月に一度ですけど、そこに読んだ本の紹介を載せたり、先ほど言った活動の記録を載せたりしています。移動図書館のときも「高橋からのオススメ」なんて張り紙を貼ったり、他の先生からのオススメも貼ったりしていますね。 あとは、私たちがカウンターにいると生徒は「何か面白い本ない?」って聞いてくるわけですよ。「あんまり難しくない本がいい」とか「スポーツ系」とか「食べ物」とか。そういったときには、その都度対応していますね。
田口:小説は何も言わなくても勝手に読んでくれるから、他のジャンルの本を読ませる工夫をしている学校さんもあるみたいですが、その辺はいかがですか? 高橋先生:うちは、あまり小説ばかり読んでいるっていう感じはないですね。貸し出し本を見ていただければ分かるのですが、みんないろんなジャンルの本を借りています。最近では、入試の対策として先生方が今話題になっている論文を「すぐ入れてほしい」って言ってくださって、それを入手したら、生徒から「〇〇先生が読んだほうがいいって言っていた本ありますか?」とい うことがありました。授業と図書館で、結構うまく連携が取れていますね。高二の夏あたりからは特に。部活を引退して一段落して、そろそろ進路も本格的にという頃ですね。
高橋先生:この資料(捜真貸出 BEST10)は中高合わせてです。小説が上位にずらっと並んでいるわけでもないですね。 田口:1位は「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」・・・あの映画になったやつですね。 高橋先生:同じ女の子のお話ですし、年代も近いし話題にもなったので。でも、映画になる前から結構人気でしたね。 2位は、「あなたに幸せの魔法をかけるディズニーランドの言葉」です。 ディズニーランドは職業インタビューとして生徒もよく行きたがるところですし、ディズニーランドのいろいろなノウハウとかたくさん本が出ていますから、そういった本はとても好きですよね。
3位の「ピンクとグレー」は、タレントさんが書いた本です。
4位は「色えんぴつで描こう 小さなイラストと和の文様」ですね。 本校は美術系や音楽系の進路に進む生徒も多いので、こういったクラフト系とかを借りてく生徒も多いです。借りられている本も男子校とは全然違うと思います。
田口:確かに、刺繍の本なんかもよく借りられているみたいですが、男子校ではあまり借りられることはないですね。(笑) ありがとうございました。
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