中村中学校 図書館司書インタビュー「『扉もない・鍵もない』誰でも自由に本に接して学びを共有できる図書館」

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取材日:2018年8月17日

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1.在庫書籍数

小嶋:まず在庫書籍数を教えてください。

岡田先生:2万7000冊ぐらいです。基本的には自由に好き勝手に取れる形です。コリドール(図書室)には扉がないじゃないですか。

小嶋:はい。

岡田先生:校門が開いたらいつでも本を借りられる状態です。休み時間や放課後以外にも、日曜日に部活で来たついでにでも、カウンターに人がいない時間でも自分で貸出ができる。そんな状況を作っています。分野としては7割が小説、文学系統で、他の分野は大体同じ割合で置いてあります。

編集部:小説が多いのには何か意図はありますか?

岡田先生:文学作品からの感受性を大事にしたいというのと、やはり人気の高いのが小説なので。あとはルポルタージュ系を置いています。ドキュメントのような、実際にあったことを書いている本が人気が高いので、集まっちゃいました。

編集部:ライトノベルもありますか?

岡田先生:若干、生徒の希望で置いています。こちらからすすんでは買わないのですが、リクエストして来る子が多いので。足を運んでもらう第一歩として、ある意味、人寄せ的に(笑)。

小嶋:あとコリドール以外では教室に学級文庫が置いてありますよね。

岡田先生:学級文庫は全クラスに置いてあります。朝の読書の時間に、自分の本を読み終わったとか本を持ってくるのを忘れちゃったとかいう子もすぐ読めるようになっています。前期・後期で入れ替えて、年間60冊は教室に本があるという形です。

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岡田先生:最近は「私の選んだ一冊」としておすすめの本や今読みたい本のアンケートを取って、それを新館に配架しています。その書架の本は自分で好きな時に借りてまた戻していくという形式で貸し出しています。

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岡田先生:それ以外に「光の小路」にも「光の小路文庫」として置いています。だから校内どこへ行ってもすぐ手に取れる本があって、クラス全員で一緒に読むより、自分のニーズに合った好きなものを読んでいく、そんなスタンスですね。

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2.朝読書について

編集部:朝読書っていう言葉が出てきたのですが、これは毎日やっているのですか?

岡田先生:はい。朝のホームルームの15分のうち、10分を朝の読書の時間という形で毎日取っています。自分の好きな本を読むのですが、担任の先生も一緒に本を読むというスタイルです。

小嶋:そうですね。先生も読んでいましたね。

岡田先生:先生もとにかく読む。大人が読む姿勢を見せて、一緒についておいでというスタンスです。それでどんどん先に読み進めていく子もいるし、なかなか先に進まない子も正直います。でもそういう子に強制はしません。先生が読む姿を見てもらって、なんでこんなに一生懸命読むんだろう?というところから、読書って面白いんじゃない?って感じをつかんでもらうためにやっています。

最近は1週間のうちの1日を洋書のリーディングにあてています。学年ごとのレベルに合わせた英文の小冊子を置いて、月曜日がA組。B組が火曜日というふうに、ほんとに短い本をクラスで回して読んでいます。

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3.家庭学習の指導

小嶋:同一書目で一クラス分用意されているものはありますか?

岡田先生:1年生のオリエンテーション用に漢和辞典を一クラス分用意しています。

編集部:授業で使うんですか?

岡田先生: 1年生は最初2週間ぐらい授業オリエンテーションをやって、その中で家庭学習の仕方を学びます。辞書の使い方やテスト勉強の仕方などを教えています。漢和辞典は持ってない子が多いので、部首とか画数とか、いろんな引き方の練習をやっています。

小嶋:最近ですか? 私のときは…。

岡田先生:以前はやっていなかったですね。塾で手取り足取り教えてもらう子が増えた分、ただ勉強しなさいと言って課題を出しても、どう手をつけていいかわからない子も増えています。だからそういうオリエンテーションを最初にやってみようと。それで家庭学習の習慣が身につくのではと思って始めています。

編集部:オリエンテーションでは国語以外もやりますか?

岡田先生:国・数・英の3教科でやっています。小テストへ向けてどう勉強するとちゃんと覚えられるかなど、そんなことも一緒にやっています。

編集部:すごい手厚いフォローですね。

岡田先生:やり方がわからないと勉強もできないので。最初の段階できちんと説明しておくと自分でどんどん広げていけるので、そういうスタートラインを作っています。

4.座席数

小嶋:図書館の座席数を教えてください。

岡田先生:48席ですが、ソファーとかパソコン机を除いた数ですね。正規に座って集中して授業出来るのは1クラス分ぐらいです。

小嶋:いろんな形のイスがありますよね。みんなそれぞれ気に入った場所があるっていう感じがします。

岡田先生:そうですね。やはり女の子なので、設計した時に丸みにこだわって、丸っこい物ばっかり集めました。角があるとカチカチっとした感じになるので。テーブルもみんな丸みをどこかにつけています。設計士さん泣かせなんですけれども。

小嶋:(笑)。

岡田先生:自分のリラックス出来るスペースを見つけてもらおうと。その場で読んでもいいし、借りてもいいし。明るい空間が好きと言って、パソコンのキーボードを外してそこで勉強する子もいますし(笑)。

5.扉もない・鍵もない図書館

編集部:空間の話でいうと、ドアがないのは特徴的ですよね。いつでも入れるってとても素敵だと思います。

岡田先生:図書館にせっかく来たのに鍵が閉まっているのは悲しいと、小林理事長の意向でこうなりました。

編集部:はい。

岡田先生:読みたい気持ちにいつでも応えられる図書館であってほしい、というのが小林前理事長の願いです。だから学校にいる時はいつでも好きなだけ本に触れられる。それがここの扉もない、鍵もないっていうコンセプトです。

小嶋:普通に廊下として使うこともあります。

岡田先生:体育の授業や移動教室の時はここを通っていく。通路です、ほんとに。

編集部:いいですね。

岡田先生:通った時についでに見られるように、通路側に表面が出るようなディスプレイをしています。

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6.コリドールという名前の由来

編集部:コリドールという名前も理事長先生が付けられたのですか?

岡田先生:第5代の小林珍雄(よしお)校長が以前、職員室の隣に「コリドール」という部屋を作りました。ローマの学校にありますよね。厳しい教室を出て回廊(コリドー)の部分では教師も生徒も対等に学問について話し合っていた。そういうコンセプトから、誰もが自由に勉強したり語り合ったりする場所という思いで作られたんです。新改築の際、その名前を図書館にいただきました。

編集部:はい。

岡田先生:先生も生徒も卒業生も、誰でも自由に本に接して学びを共有できる空間という意味で名付けました。それからコリドーには通路の意味もあるので、学校と外の社会をつなぐ通過点という気持ちも込めています。学校でこういう知識の場を通過してから、社会へ出て行ってほしい。そんな社会への架け渡しという思いも含めています。

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7.生徒の利用頻度

小嶋:生徒の利用頻度はどのぐらいですか?

岡田先生:来る子は毎日来ていますし、通るだけの子もいますし…。

小嶋:勉強だけしに来る人はいますか?

岡田先生:いますね。7時半に校門が開くのですが、キャレルという自習室で朝から勉強している子もいます。

小嶋:私も朝、行っていました。

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編集部:利用頻度について何冊ぐらい借りるっていうデータはありますか?

岡田先生:2、3年前までは月130冊ぐらいは動いていたんですけども、ここ1、2年で急激に減りました。去年なんか月に3、40冊、年間通して500冊ぐらいしか借りられてなくて衝撃でした。以前は年間でも2万冊ぐらいは貸出があったのですが。年間100冊以上借りていた子が50冊になっているのを見て、これは何が起こっているのだろう?私やり方変えたかな?とか思いつつ(笑)。それで原因はやっぱり、タブレットのようです。生徒の時間の使い方も変わって来ている。ちょっと悲しいですね。

8.生徒からリクエストがあった本の発注サービス

小嶋:生徒からリクエストがあって、本を発注するって感じですね。

岡田先生:まず欲しい本を検索して、貸出中だったら予約するように。それでもなかったら、リクエストしたら買ってあげるよとアナウンスしています。それで読みたい本をリクエストボックスに入れる。

小嶋:リクエストがあったうち、どれくらいの割合で購入されるのですか?

岡田先生:概ね買います。月に1回ぐらいのペースで本屋さんに発注しています。だからちょっと待つけど、買わなくても読みたい本を読めるよと。ただ漫画とか、図書館に置くにはふさわしくなさそうな過激な内容のものとかは購入しないこともあります。

9.貸出ベスト3

小嶋:貸出ベスト3を教えてください。

岡田先生:今はリバイバルなのか、「図書館戦争」が。それから村上春樹の「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」。これ、いろんな話が錯綜して面白いよって言ったら口コミでバーッと広まって、返却されたら次の人が借りるみたいな感じで増えてきて、ベスト3に上がっています。あとの一冊は一つに集中しないでバラバラです。

小嶋:これだけ本がありますもんね。

岡田先生: 最近は一冊の本に集中しない傾向があります。誰も彼もハリー・ポッターみたいな時期もありましたけども、最近はそうでもないです。

10.生徒に読んでほしい本

小嶋:読んで欲しい本は何かありますか?

岡田先生:最近は新書系をアピールしているのですが、ハードルが高いらしくてなかなか読んでもらえてないです。特に高校生には新書で問題意識を持ってほしいので、いろんなジャンルを集めてコーナーに置いているのですが・・・高校2年生で意識のある子、3年生でちょっと切羽詰まった子が読んでいるぐらいで、1年生あたりだとまだまだですね。

今はとっつきやすいビジュアル系、写真がかなり入っている本で理想のものを、ちょこちょことおすすめに出しています。図書館の写真集とか、ヴェルサイユ宮殿の写真集とか。この「ヴェルサイユ宮殿」は修復中に専属カメラマンが撮った写真で、普段は公開されないものも細かいところまで出ていておすすめです。

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小嶋:借りられていますか?

岡田先生:重たい本なので図書館の中でいろんな生徒が見ています。まずは図書委員の子に、面白いのが入ったよって一緒にパラパラと見ながらいざなっていく。そのあとその子が借りているのを発見したりします。

編集部:ところで新書はどんなものを置いていますか?

岡田先生:今のITの問題から少子化や高齢化のこと、社会情勢など全般的にいろいろ集めて来ている感じですね。

編集部:小説や先ほどのビジュアル写真の本から始まって、そういったところに手を伸ばしてほしいですよね。

岡田先生:そうなんですよ。入り口は低くして、だんだん読むことに慣れてもらう。そしていろんなものを読んで、自分の考えを広げていく。でもなかなか乗ってくれないです。だから先生が具合悪いときなど急に空きコマができた時にそのクラスを引っ張って来て、本って字ばかりだと思うけど、図があったり写真もあったり、簡単なのもいっぱいあるよって。絵本も紹介したりします。

今はYouTubeとか、そういうところからしか情報を入れない子もいるし。ニュースと言ってもデータで配信されてくるのをズラズラッと見て、タイトルしか読まないで流してしまう。タイトルだけだと誤解するような記事っていっぱいあるから、ちゃんと本文を読んで欲しいです。

11.司書が好きな本

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小嶋:先生が好きな本って何ですか?

岡田先生:小説が多いです。上橋菜穂子さんの本が好きですね。さすがにアンデルセン賞を取っただけあって世界の作り方がうまいです。小説の中に自分の世界をちゃんと作っていて矛盾がないし、今の社会問題も取り入れて気づかせてくれる。ファンタジーでありながら現実問題もある。飽きさせないでどんどん先へ引っ張っていく文章力があって、内容展開の仕方もうまい。上橋さんの世界に引っ張られています。

編集部:小説の中に現実の問題が入ってくることで、手を出しにくい新書に行く前のステップの役割も果たしているのですか。

岡田先生:そうですね。文学でもただ楽しい面白い話っていうだけじゃなくて、社会の問題も絡めて、この登場人物がこういう問題に関わっているけど、自分たちの周りはどうなんだろう?って考えが及んでくれればいいですね。

食の問題にしても、コンビニの物を買って来て食べていた登場人物が、あるきっかけで自分でご飯を作ることに目覚めていくっていう話を読んで、こういうことも考えてくれたらいいかなと生徒に薦めてみたり。薦める本の中には出来るだけ、そういう気づきに結び付くものをあげたいと思っています。

12.生徒の特徴

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小嶋:じゃあ最後に、岡田先生から見て、この学校はどんな生徒が多いですか?

岡田先生:まずは素直な子が多いですね。反抗期だって言いながらも。こちらがちょっと言うとすごく真面目に受け止めていろいろ考えているし、投げかけるとちゃんと応えてくれる。こういうことをやるといいよって言うと、文句を言いながらもいつの間にかこっそりやっていたりする(笑)。

小嶋:(笑)。

岡田先生:自分が中高生の時代に、やった方がいいとかいろいろ言われたことを完全無視して生きてきたことを思うと、やっぱり非常に素直ですよね。先生が言ったことをこの子たちはちゃんとやれるんだなと思います。

編集部:この学校と相性がいいお嬢さんって、どんなお嬢さんだと思いますか?

岡田先生:まあ元気な子ですかね。

小嶋:元気ですよね(笑)。

岡田先生:とにかく動き回るのが好きな子が多いですね。入学してすぐの5月に体育祭ですからね(笑)。でもおとなしい性格の子でも元気がなくても引っ張られちゃいますね。体育祭は6年生がリーダーになって、縦割りのクラスでチームを作るのですが、競技にしても応援にしても6年生の指導のもと、ガチでぶつかっていく。本当にかんばっています。

編集部:はい。

岡田先生:あとは、何にでも一生懸命になれる子が多いですね。それもやっぱり体育祭が引っ張っているのかなと思います。6年間そうやって来た6年生はもう一生懸命やるのが当たり前になっていて、1年生や下の学年にどんどん仕込んでいくんです。恥ずかしいから運動会で一生懸命走らないっていう中学生もいるじゃないですか。でも中村の生徒たちはそういうことは全くないんです。

小嶋:いないですね。

岡田先生:一人もいないですよね。勝つことに前向き。とにかく必死で向かっていく。素直だからそうなるんでしょうけど、そういう子が多いですよね。だから元気な子にはニーズが合っているのかなと思います。

小嶋:私は逆に周りに引っ張られて、そういう積極性を身に着けたタイプなんです。だからそういう子も、最初から元気じゃなくても中村で!

岡田先生:引っ張られますね。今5年生の子で、小学校の時は後ろ向きというか、人のあとをついて行くタイプだったっていうんですけど、先輩がいろいろ引っ張ってくれたり、みんなで一緒になって何かやっていくうちに、自分もやれるんじゃないかと、自分も一緒にやって行こうという前向きさが出て来て、なんと今年、文化祭実行委員長になりましたね。

編集部:へぇ。

岡田先生:私、文化祭の担当で一緒になって今やっているんですけども、こらちから何か言う前に、これはこうしたいですって言って来てくれます。そうやって先輩や友達がいろいろやっているのを見て、自分で向かっていく感覚が当たり前になっていくのかなと思います。

小嶋:それは、ありますね。

編集部:なるほど、ありがとうございました。

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