取材日:2016年9月11日 インタビュイー:司書教諭 細谷先生 インタビュアー:東京農業大学4年生 手塚諒・外資系経営コンサルティングファーム勤務 奥村勇真
手塚・奥村:城北埼玉高校2012年卒業生の奥村、手塚です。よろしくお願いします。
細谷先生:当時は、図書館使ってくれてたかな。
手塚:たまに・・・。
細谷先生:たまにでもいいんですよ、使ってくれればね。(笑)
手塚:では、はじめに在庫書籍数を教えてください。 細谷先生:だいたい,38,500冊くらいです。
手塚:生徒からリクエストのあった本の発注サービスはありますか? 細谷先生:リクエストはあります。リクエストは極力は受けるようにしています。マニアックな本とかすごく高額なものは、先生方に相談をしてお断りをするんですけど、平均すると月に数冊から10冊くらいリクエストが来るので、それの8割以上は購入しています。
手塚:どんな本が多いですか。 細谷先生:やはり、ライトノベルが多いですね。ただライトノベルは、私自身は特に問題ないと思うんですが、ジャンルがあまりにも広いでしょ。だから、これは入れてこれは入れないという区別が難しいので、本校は、今あるものの続巻は買い続けるという感じです。それで、生徒たちはある程度、どんなものがリクエスト通るかなどを分かってきているようですね。
細谷先生:座席は51席。あとは、ソファーがあります。
手塚:生徒たちの利用頻度を教えてください。 細谷先生:うちの場合、昼休みと放課後にカウンターを使って数えるんですが、1日に延べ数で200人ぐらいですね。どうしても、同じ階の生徒たちは、本を読みに来てるというより、遊びに来ている生徒が多いですけど。出たり入ったりの延べ数で200人くらい。純粋に読書とか自習目的だと、100人前後が使っているという状況ですね。 手塚:だいたい月に何冊くらい借りられますか。 細谷先生:月によってすごく差がありますね。年間で今だいたい4,000冊くらいは貸し出してるので、夏休みは閉めていることを考えると月に350冊くらいかな。多い時だと600冊とかになったり、試験があったりすると200冊とかで差がありますね。ただ、これも残念なことで、数年前までは今の倍ぐらいの貸し出しがあったのですが、最近は激減しているので、なんとかそれを食い止めたいと思っていますね。4,000冊というのは、最高に多かった時と比べると半減ですね。 手塚:原因は何ですか。 細谷先生:やっぱり世の中全体が読書離れ、活字離れというのもあるでしょうけど。ここの生徒たちは、私が言うのもあれなんですけど、忙しすぎるかな、色んなことで。だから、本を読みたいけど読む時間がないとか、そういう生徒が高校生は特に多いと思いますね。 奥村:借りて行くのは中学生が多いですか。 細谷先生:そうですね、中学生が多いです。ただ、それも年度によりすごく差があって、普通中学1年生ってたくさん借りてくんですけど、今年は、中1よりは不思議と高校2年生の方が借りるんですよ。今の高2の生徒たちは、図書館と同じフロアに2年間いた生徒たちなんですよ。だから、物理的にも図書館に馴染みがあるというか、使いやすいから、学年が上がっても来てくれるというのはあるかもしれないですね。比率的には、中学生が6割は占めていると思います。
手塚:貸し出しのベスト3を教えてください。 細谷先生:これは去年の図書館便りにも出したものですけど、小説は1位が「ソードアート・オンライン」です。
奥村:あっ、その本知ってます! 手塚:俺知らないわ。 細谷先生:2位、3位が西尾維新さんの「化物語」とか「偽物語」とか、やっぱりその辺が多いですね。西尾維新さんて、結構図書館でも意見が分かれるところなんです。私はここに来る前は公立の中学にいたんですが、公立の中学校だと少し過 激だからという理由で入れてない図書館が多いらしんですね。でも、ここは高校生もいるので入れてみて様子を見てます。すごい人気ですね、中学生にも高校生にも。ハマるんですよね、あの世界にね。映画もやっているし。小説以外だと、「空想科学読本」が1位で、2位が「空想法律読本」です。
奥村:「空想科学読本」は僕も好きですね 細谷先生:なぜか、3位に「世界の日本人ジョーク集」というのが入ってて、これは授業で先生がこの本の話をして、それで口コミで広がっていったようなんです。世界の人から見た日本人に対するいろんな面白い話が出ているので、その辺が人気があったんじゃないかと思います。
細谷先生:学校としては、どんな本でもいいんです。ライトノベルでも文豪が書かれたものでも小説ではないものでも。とにかく、本を読んでくれる、活字を身近に置いてくれればいいかなと思っています。 奥村:なるほど。 細谷先生:ライトノベルも賛否両論ありますが、現場で見てると読書の切り口になるんですよね。ライトノベルの西尾維新さんとか山田悠介さんとかあの辺を読んで、そこから違う方へと広がっていくのが実際に現場でも見れるので。どんなものでもいいと思います。あとは、何か分からないことがあったときに、今はインターネットで調べれば出てきてしまうけど、本で調べようって思ってもらえるようになればいいですね。
細谷先生:私はこういう仕事してますが、実は大学は教育学の理系だったので「科学読み物」的なものが好きです。動物とか植物に関する面白いシリーズが出てくると、つい見入ってしまいます。また、小説だと、有名どころはどうしても目に付いちゃうので読んでしまいます。あとは、スポットが当たらない作家さんでも、面白い方がいるので。本当にいろんな読み方があるんですけど、1人の作家の作品をまとめて読むとか、映画化されたものをどんどん読むとか、いろんな切り口で読んでもらえたらいいと思います。 手塚:最近読んだ本で何かいい本はありますか。 細谷先生:最近は、仕事でいろんな本に出合うんですけど、じっくり読む機会がなくてパラパラ読みになっちゃうんです。そうですね、ぱっと出てこないところが悲しいよね。(笑)並行読みしちゃってて、じっくりプライベートで読むというのが、なかなかでき なくなっちゃってますね。有川浩さん、あさのあつこさん、宮部みゆきさんとか、女流の作家さんが好きなのでその辺ですかね。何か1冊となると決められないな。(笑)
手塚:この学校の生徒って、どんな生徒が多いです。 細谷先生:そうですね、基本的には真面目な生徒が多いですよね。穏やかというか、すごくシャイですね。今日なんか文化祭に女子校生が来てるけど、なかなか声は掛けられないし。特に図書委員の生徒は、おとなしめの雰囲気の生徒たちが多 いので、女子校生が会計に来ただけで固まっちゃって、緊張しちゃってる生徒がいっぱいいますからね。 奥村:昔と比べて生徒は変わりましたか? 細谷先生:中学生は大変かな。何て言うんだろう、色んな生徒が来るようになったっていうのかなあ。変な言い方だけど、昔って、中学受験というのをしっかり捉えて、親御さんもそうだけど本人も自覚して来てる生徒が多かったけど、最近は誰でも 来てる感じですね。だからすごく個性は豊か。(笑)私が10年くらい公立中学にいて、そのあと、ここに来た時に、公立の中1とここの中1を比べると、こっちの方が少し幼い感じがしたんです。ご家庭でも大事に育てられてきたお子さんたちばっかりなんだろうなという感じで。そう意味ではすごく可愛い生徒たちが多いですね。すごく可愛いんですけど、ちょっと違うパワーが出てきてるのかなと思います。 奥村:やんちゃな生徒もいますか。 細谷先生:やんちゃな生徒もいます。やんちゃはいいんですけど、訳分からない生徒がいますね。(笑)私たちの世代のちょっと後は「新人類」なんて呼ばれてましたが、そんなの目じゃないぐらいの「そういう考え方なんだ」とか「そういうものの見方なんだ」というのに、すごく驚かされることが多いです。個性があると言えばあるんだけど、社会の中でうまくやっていくための教育という意味では、責任を感じてやっていますね。 奥村:僕たちが図書館に行ってた頃は、うるさくしてると注意されたりしてましたけど。 細谷先生:静かに読書や勉強をしている人の邪魔にならないということが前提なんだけど、お昼休みなんかは、図書館って学校内でも数少ない異学年や違うクラスが自由に関わることができる橋なんですね。だから、そういう意味では多少はそうい うのはいいかなとは思っていますね。ただ、先生の中には図書館は「シーン」としたイメージを持ってる人もいるので、びっくりされる先生もいますね。 手塚:図書館で、他学年や他クラスとの交流があるんですね。 細谷先生:部活の先輩後輩が示し合わせて来ていたり、先輩が後輩に勉強を教えてたりしますね。中高で一に活動する部活があるでしょ。そうすると宿題とかが分からないと、時々、後輩が先輩に習ってたりします。
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